追尾撮影

追尾撮影とは
追尾撮影とは、赤道儀によって星を追いかける撮影方法で、一般的にガイド撮影とも呼ばれます。固定撮影とは違い、星は点に写ります。
しかし追尾撮影では周りの風景は流れてしまうので、風景と一緒に撮る星景写真には向かず、星座や星団・星雲などの星像や位置関係をはっきりさせる、星がメインの天体写真になります。また、流星は固定撮影・追尾撮影のどちらでも、下の写真のように線に写ります。

東西南北をはっきりさせる
追尾撮影で撮る星野写真では、星の軌跡が判らないのでどこを撮影したのかが判らなくなる事もしばしば・・フレーミングするときには画面の上が北極星の方向を向くようにセットするのが一般的です。あとで何処を撮影したのか誰にもわかりやすくていいと思います。

固定撮影 追尾撮影

追尾撮影に使用する機材
ビクセンのGPガイドパック
追尾撮影には赤道儀を使用します。天体望遠鏡についているモータードライブ付きのものが性能もよく、精密な天体写真が撮れるようになるので安心でしょう。
冬の大三角とオリオン座
また「簡易赤道儀」といって、撮影に不要な部品を省いたモータードライブ付きの赤道儀セットも市販されてます(実売6万円くらい?)。天体写真撮影専用の簡易赤道儀には、高精度を誇るKenko SKYMEMO Rや豊富なパーツで発展性のあるビクセンGPガイドパックなどがあります。これらも200mm以下の短焦点カメラレンズでの追尾撮影(星野写真や流星写真)には充分な性能を持ち合わせていて持ち運びも便利、手軽でいいかもしれません。
なお、GPガイドパックのインプレッションについては機材とカスタマイズ頁に掲載していますのでご参考まで。


ガイド撮影に使用するレンズと露光時間
追尾撮影には超広角〜200mmまでの焦点距離のレンズを使います。精密な赤道儀とはいえ調整するのは人間の手と目ですし、北極星自体が微妙に真北からずれているのですから、誤差は必ず生じてきます。ゆえに極軸をいくら正確に合わせたとしてもこれ以上レンズの焦点距離が長いと星像の歪みが大きくなり、ブレや流れが目立ちます。
アンドロメダ大星雲
また、赤道儀での追尾撮影ではレンズの焦点距離により点像に写る時間の上限も変わり、広角ほど長時間の露光にも耐えます。200mmという焦点距離の長いレンズでの撮影では、シャッターを開ける時間は15分までが限界です。それ以上露出時間が長いと星が流れて点像に写りません。
要するに、赤道儀を使用するノータッチガイドでの長焦点撮影で、きれいに星を点像に写すには、超高感度(1600や3200)フィルムを使う、もっともっと空が暗い山奥に行くなど、露出時間を短縮する工夫が必要なのです。

もっと長い焦点距離、長い露光時間で撮りたいとき
M8&M20
200mmを超えるような長焦点で追尾撮影するには、ガイド鏡による位置修正作業をすることになります。
小さい望遠鏡「ガイド鏡」と星のズレを発見するための装置「暗視野ガイドアダプター」を使って、星の中心を常に合わせられるように、絶えずレンズの向きを赤道儀の微動を回して修正しつつ撮影する方法で、この作業をするには赤経・赤緯を備えたしっかりとした赤道儀や、ガイド鏡にガイド星(ズレを発見するために目標にする星)を導入するためのガイドマウント、ガイド鏡とカメラ雲台を固定するためのマルチプレートなどが必要になります。
この撮影方法でないと200mm以上の焦点距離のレンズ、15分以上の露光時間では星が点に写りません。また、風やガイド操作の影響によるブレを防ぎ、ガイド精度を上げるためには赤道儀にも三脚にも剛性とバランスが要求され、とてもシビアな撮影となります。
また、この作業を自動で行う機材(オートガイダー)も市販されています。ガイド鏡に取り付けたCCDカメラで取り込んだ星の映像の動きを解析し、コンピュータが自動で赤道儀を制御してくれるシステムですが、観測時の状況によってはガイドエラーも発生するのでシャープな星像を得られるガイド鏡が必要になります。
ガイド撮影は沢山の道具、高度な知識と技術を必要とするかなり専門的な撮影方法になります。とても「ライトな撮影」とは言えませんが、うまく撮影できたときの達成感はひとしおです。400mmを超えるような長焦点になるとカメラレンズよりも望遠鏡を使用したほうがF値・価格・重量的にベターかもしれませんね。^^;

AFレンズでのピント合わせ
MF(マニュアルフォーカス)のレンズですと、∞のマーク以上は回転しなくなりおのずとピントが合うのですが、AF(オートフォーカス)レンズですと、∞よりさらに回転するようになっていますので、回転が止まるところまで回しきってしまうとピントが合わなくなります。
ファインダーで確認しても非常に見難く、正確に合わせるのは不可能と言えます。マグニファイヤーなどを使用してファインダーを拡大したところで、正確さはまだまだ足りません。ナイフエッジ法やスリガラス法などでピントを合わせる方法もありますが、ピント合わせの器具は結構高価なものです。また、銀塩では以上のような方法で合わせるしかありません。
デジタルだと撮ったその場ですぐ確認できるというメリットを利用してピント合わせをすることも出来ます。
ファインダーでとりあえず合っていると思われるところにピントを合わせ、20秒程度撮影し、ヘリコイドを少し回してまた20秒撮影。この作業を繰り返し、ボディのモニタで撮影した画像を最大限に拡大。撮った画像を見比べて、星像が最も小さい画像を探し、その画像を撮ったヘリコイドの位置に合わす。・・このような方法でかなり正確なピントを得ることが出来ます。

上の図ではIMG_0003がピントが合っている状態と言えます。ヘリコイドを0.5mm単位で回転させても、上図ほどの違いがでます。
この方法でピントを合わせるには、ヘリコイドの回転量は1/10mm単位の正確な操作が必要になります。精密な目盛をプリンタなどで出力し、ヘリコイドに貼り付けておくと良いでしょう。
しかしデジタルではPCのモニタで拡大して確認してみると、ナイフエッジやスリガラス法でもまだまだピントは正確ではないということまで判ってしまうのです。銀塩よりピント合わせがシビアなのかもしれませんね。
ピント合わせの具体的な方法については機材とカスタマイズ頁に掲載しています。


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