Home > 機材とカスタマイズ > AFレンズ・望遠鏡でのピント合わせ

AFレンズ、望遠鏡でのピント合わせ
AFレンズのピント合わせはファインダーでは不可能
ファインダーで小さな星を見ながら苦労してピントを合わしている方もいるとは思いますが、残念ながら人間の目でファインダーで正確に合わせるのはどんなにがんばっても不可能なことだということを認識してください。たとえAF機能が動作したとしても、それは正確とはいえないほどに天体写真ではピントの厳密さを要求されるのです。

正確なピント合わせ
MFレンズでは∞に合わせるだけでピントが合いますが、AFレンズでの撮影でももちろんオートフォーカスも使えませんし、手動でピントリングを回すとなっても∞よりもピントリングが回るようになっていますので簡単にはピントは合ってくれません。
対処としては、銀塩ならばナイフエッジ法やスリガラス法などの方法がありますが、デジタルでは撮ってすぐに結果を見ることが出来るモニタが付いていますので、これを活用して、ナイフエッジやスリガラスよりも正確なんじゃないかと思えるような厳密なピント合わせが可能になります。
∞付近から少しづつピントリングを回しながら20秒程度の露光を繰り返し、カメラのモニタで可能な限り拡大して星の大きさを比べ、最も小さく写っている場所にピントリングを調整して合わすのです。その対象はできるだけ小さい星にすると良いでしょう。
しかしこの調整方法をとるとなると、ピントリングに正確な目盛が必要になりますので、スチールの直尺を切り取り、レンズのピントリング付近に貼り付けて使用しています。
ピントは思っているより非常にシビア、0.1mm単位での回転が必要となりますが、そんなに正確な調整を手動で行うことは不可能に近いものです。直尺の0.5mm単位の目盛で充分でしょう。


さらに正確なピント合わせ

カメラのファインダーでは掴めないピント、望遠鏡でもAFレンズと同じように撮ってはヘリコイドを回す・・を繰り返しますが、星の大きさだけでは少々正確さに欠けます。
そこで便利なのがこのようなツール。古いマウスパッドをくり抜いて、望遠鏡の前部に取り付けできるように作ってみました。
カメラレンズの絞りと同じような原理なのですが、ピントが合っていない状態(玉ボケ)は、絞りの形になる・・という簡単な原理です。
要するに、このツールを使うと二つの穴から別々に入った光は、ピントの合う位置でぴたりと重なります。合っていなければ二重像に見えるわけです。
この原理を利用して、AFレンズと同じように、少しづつピントリングを回しながら20秒程度の露光を数枚続けます。星像が二つに見えるもの・楕円に見えるものはピントが合っていない、ひとつに見えるもの・丸に見えるものはピントが合っているということです。
チープな外観ながらファインダーでも非常に高精度なピント合わせを可能にしてくれるので銀塩でも使用は可能ですが、これを使うと暗いファインダーがさらに暗くなりますので明るい星のある写野で作業する必要があります。デジタルならばピントリングの目盛を見ながら単時間撮影して確認を繰り返せばゾクゾクするようなシャープな像を簡単に得られますよ。
∞にしてもピントの合わないオートフォーカスレンズにも応用できますので、サイズを合わせて自作してみてください。
※Blogに性能テストを紹介しています。 http://blog.livedoor.jp/fuuma_mfuk/archives/23223178.html
鳥を拡大→

PCソフトを使って、AFレンズ・望遠鏡での非常に精密なピント合わせ
まずはこの画像をクリックしてみてください。
撮れた画像-sum
Canon EOS Kiss Digital N改(UIBAR) EF70-200mm F2.8 L USM
F4 10min.×1 ISO800 StellaImage5で現像・レベル補正・トーンカーブ / 生石高原

ピントはかなりシャープ、細かい星まで綺麗に分離していると思います。

この画像を撮影したレンズはEF70-200mm F2.8 L USM。
L41フィルター画質には定評のある白いLレンズ、開放では少々周辺減光が目立ちますが、1段絞れば周辺までシャープな像を結んでくれます。
高価なレンズですが、やはりフラット処理は必要ですので、普段はフラットフレームを撮影して画像処理で周辺減光を低減させます。
逆光に弱いとの噂もありますが、実際に夕焼けの撮影ではフレアが目立ちました。
ハロが心配でしたのでL41フィルターを装着しています。
KenkoのL41フィルターは青ハロ低減の効果があることは良く知られています。また、この種のフィルターの中でも効果が高い方だとか。

クロスフィルターピント合わせにはクロスフィルターを使います。
僕が主鏡として使用しているBORG77EDにも77mmフィルターが付けられるネジきりがなされていますので、この方法を用いることが出来ます。
鏡筒の前玉に付けられたクロスフィルターによって作られた輝星の光条を頼りに、少しづつピントリングを回しては短時間露光した画像を次々とPCに取り込み、画面で確認してピント位置を探す・・そういう作業を繰り返します。





撮った画像をPCに転送して、Fly Eye Loupeで光条を見比べながらピント位置を探していきます。
フライアイルーペ
ISO1600で20sec.程度露光し、少しピントリングを回してまた露光・・を繰り返します。
そして光条が最もシャープになったところがジャスピン位置です。拡大されているのはさそり座のアンタレス。


こと座のヴェガでピント合わせ。クロスフィルタでピント合わせすると、光条がとても長くてピント位置が掴みやすい。


こと座のヴェガでピクセル等倍に拡大したところ。これくらい光条が細くなればOKでしょうか。

さらにピントリングを回していくと、また光条が少しづつ太くなっていきますので、ジャスピン位置を過ぎてしまったことが判ります。
そのジャスピン位置までピントリングを戻す必要がありますので、ピントリングに目盛を付けておく必要がありますが、この目盛はかなりの精密さを要求されます。通常のレンズ・望遠鏡の場合、1/10mm程度まで調整できるよう、バーニア目盛を付けておくと良いでしょう。

さて、通常のAFレンズでは∞を少し超えてピントリングが止まるように設計されているものですが・・
このLレンズの困るところは、∞を過ぎると中筒は止まりますが、ピントリングはいくらでも回ってしまうのです。これだと目盛を付けておいても回すたびに位置がずれてしまって指標にならないのです。
撮り比べながらジャスピン位置を越えてしまうと、またその位置に戻すのは至難の業です。
何とかならないものだろうか・・。

戻る