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GPD赤道儀のオーバーホール/分解・清掃・グリスアップ
以前から気になっていたのですが、うちのGPD赤道儀はどうも回転が重いのです。
積んだ機材のバランスを取ろうとフリーにしても回らないことがあるくらい。
syoshi-さんに聞くとやっぱりちょっと重すぎるらしいです。もしかするとグリスが固まってしまっているのかな?
・・というわけで、syoshi-さんにお願いして、GPD赤道儀のオーバーホール/分解・清掃していただきました。

できるだけ詳しく掲載してみましたが、技術的に自信のない方は真似しないでメーカーや業者にお願いしてください。また、これを見て自分でやってみようという方は自己責任で。
まずは赤道儀を三脚に固定します。
三脚の脚は目いっぱい伸ばしておくと作業するのに高さがあってやりやすいと思います。

極軸望遠鏡を外します。
極軸望遠鏡と目盛り環を外すと赤経軸の止めリングが見えました。
これを外すにはカニ目が必要ですが・・しまったな、今日は持ってきていません。^^;
仕方ないなぁ・・。
赤緯体を外します。
目盛り環を外すと、やっぱりここにもカニ目の必要な止めリングが。
外側の切れ目からイモネジをひとつ緩め、カニ目を回しますが・・仕方がないので穴にドリルの刃を入れて金槌で軽くたたき、ひとつひとつ交互にやって少しづつ回して外しました。
そんなに強い力で締められていないのでコンコンと根気良くすれば外れました。
外した止めリング。
リングの両面に白いシールリングがグリスで貼り付いています。割ってしまわないように気をつけて。
ウォームギアも外します。
緑色のグリスがべったりと塗られています。
粘度が非常に高く、どうもこれが回転の重さに影響している気がします。
ウォームギアを外すとウォームホイールが見えました。
赤緯軸を外します。
この状態ではスポッと抜けます。
ウォームホイール内部。
赤緯軸がこの中に入っていたのですが、その隙間はほとんどありません。
こんなに高精度な加工が出来るんですね、ベアリングも使わずにピッタリと収まるように仕上げられているのは凄いことです。

そうそう、ここで早めに言っておきますが・・これからグリスを取り除く作業をするのですが、くれぐれもグリスを取り除いた状態でここに赤緯軸をはめ込まないように。噛んでしまうと本当に抜けなくなります。
それくらいピッタリと収まるようになっているんですね。
赤緯体がバラバラになりました。
次に赤経体を分解。
目盛り環を止めるネジを取り除いた穴から六角レンチを差し込み、3つのイモネジを緩め、赤緯軸の止めリングと同じ要領で止めリングを回して外します。
赤経軸が外れました。
稼動部に付いたグリス。
やっぱり非常に粘度が高い。冬の寒い時期には余計に重くなってしまいそう。
赤経体の側。
うまく肉抜きしたような軽量化された構造になっていますね。
赤経体もバラバラになりました。
さて、バラバラになったら、まずはクリーナーで清掃。
パーツに付いたグリスを全て綺麗に拭き去ります。
クリーナーを吹いて、蒸発するまでの間に手早くグリスをふき取ります。
グリスを取り除いて綺麗になった赤緯軸。
古いグリスはほぼ完全に落としきります。
赤緯体の清掃後のパーツ。
赤経体の清掃後のパーツ。
ウォームギアも念入りにグリスを落としきります。
さらにパーツを分解し、古い歯ブラシを使ってネジの間に入り込んだグリスも綺麗に落としました。
そうそう、それから赤経体の側まですべて綺麗に掃除してくださいね。
パーツが綺麗になったら、今度はグリスを塗っていきます。
二酸化モリブデングリスを使いました。高速回転するようなところに使われるグリスですが、赤道儀のような機械の稼動部にも使えるようです。
石鹸基リチウムグリスも用意していましたが、モリブデン入りで試してみることにしました。
ウォームギアのグリスアップ。
細かいところは細い棒の先にグリスを付けて塗ると塗りやすいです。
こういう稼動部にはたっぷりとグリスを付けます。
ウォームギア、ウォームホイールの他の部品に触れる部分は特にたっぷりと。
それ以外のところには分量を調節して薄く付けます。
グリスを塗り終わったら、赤経体から組み立てていきます。
カニ目が回しにくいので、syoshi-さんが即席で作ったカニ目もどき。(笑)
ほんとのカニ目より回しやすそうです。
ウォームギアはとりあえず緩くネジをとめて仮止めしておきます。
その前に・・ウォームギアを組み上げるとき、黒い止めネジの締め具合でウォームギアの横方向のガタつきを調整できます。締めすぎると動かなくなり、緩いとガタが出ます。
しかし最後の薄いナットを締めると調整具合がずれてしまうので、その分量を考慮してしめないといけません。構造上の問題ですが・・。
分解したついでに、明視野照明装置は取り外しておきました。
これがあると回転軸から重心がずれてしまうのでどうもバランスが良くないし、ネジ2本で止めるだけの赤緯体の固定強度にも不安が残ります。
GPガイドパック用の明視野照明で充分使えます。
さて、だいたい組みあがりましたので、今度はウォームギアの調整。これがまた物凄くシビアな作業です・・。
実は空荷の状態で調整してみたのですが、ちょっと重みがかかると回らなくなってしまったので、機材を全て載せて調整しなおしました。
ウォームギアの調整はこの3つのネジでやります。
中央のネジを緩めて両側の引きネジを締めるとバックラッシュは少なくなりますが、あまり強く締めるとギアが回らなくなります。3つの押しネジ・引きネジを調整して、バックラッシュが少なく、かつギアが軽く回る位置を探します。
ネジを調整しては・・
回転の重さを確認する・・
これの繰り返しです。

ネジの最適な位置が掴めたら固定するのですが、固定ネジを締めるとギアが動かなくなりがちですので、その分を考慮して押しネジ・引きネジを調整しないといけません。
これも構造上の問題・・かな?面倒ですが。^^;
調整が完了したら、モーターを付けてスムーズに回るかどうか確認します。

そしてギアのバックラッシュを出来るだけ少ない位置でモーターを固定して完了です♪
このモーターの固定もなんでネジ一本で固定なんだろうか・・片手でモーターを持ってもう片手でネジを締める・・というのはやりにくいし、締めたらズレるし。^^;
さあ、これでOH完了!
以前よりかなりスムーズになりました♪
でもちょっとウォームにヘタリがあるのかな?次の新月までちょっとづつ試してみよう。

syoshi-さん、ありがとうございました!

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