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デジタルカメラへの電源供給
デジタル一眼レフは露光中もずっと電源が供給し続けられます。が、こと冬季ともなると、低温のためにバッテリーの寿命が短くなってしまいます。
それならバッテリーを温めれば良いじゃないか・・銀塩カメラならそれで済みました。しかしデジタルとなるとそう簡単には事が済みません。デジタルカメラのボディに入っているバッテリーを温めることは、CCDをも温めることになり、ノイズが激増してしまう結果を招いてしまうのです。
そこで考えられるのは電源のみを何らかの方法で温めて外部から供給すること。デジタルカメラにはACアダプタのジャックが付いていますので、電圧を調整してここから電源を供給してやれば、良いわけです。
電圧の調整をするには、レギュレータを使用します。市販されている電圧調整機を使用してもかまいませんが、これがまた非常に高価なものです。しかし、若干の電子工作の知識があれば、キットを買ってきて組み立てて使用することが出来ます。
また12Vのポータブル電源を使用すれば、大容量の電源を確保できますので安心です。
電源の供給についてはカメラの機種により電圧も方法も異なりますので注意が必要です。シビアな調整になりますので、テスターを使っての慎重な調整が必須です。
こういった改造においてのトラブルはメーカー保証外ですので、自己責任で行ってください。
さて、問題はカメラ側の電源コードの製作。カメラには適正な入力電圧があり、それを調べなければいけません。ACアダプターがあれば、それで調べることが出来ますが、ない場合は厄介です。このような方法で測定できるようですが・・

【PENTAX *istDの場合】
※Blogに性能テストを紹介しています。 http://blog.livedoor.jp/fuuma_mfuk/archives/15436558.html
*istD専用外部電源レギュレーターは単三ニッケル水素電池8本を使用し、*istDのACアダプター用ジャックに繋いで使用します。電池ボックスを単体で温めることで電源の強化を図るわけです。
デジタルカメラは主に電池を電源としていますが、外部電源の使用に対応している機種が少なくありません。一眼レフカメラなら全機種において、ACアダプターが使用可能でしょう。ならば、ACアダプターと同じピンプラグで同じ電圧供給をキープできれば、電池をボディに入れなくても作動すると言うことです。
クモハ169-1さん調べによりますと、*istDのACアダプタージャックは6.5Vの電圧で正常作動しているとのこと。単三電池ですと1本1.5Vですから5本でそれを上回ることが出来ますが、5本と言うのも中途半端ですし、アルカリ単三電池が使い捨てになってしまうのがもったいない。よって充電して繰り返し使用できて、比較的低温にも強いニッケル水素1.2Vを8本使用し、6.5Vに電圧を下げるレギュレーターを製作されました。
ニッケル水素8本を温めながら使用すれば約4時間の撮影ができ、レギュレーターのつまみを回して出力を調整すれば12Vの電源でも使用可能のスグレモノです。
※テスターを使っての慎重な調整が必須です。また、こういった改造においてのトラブルはメーカー保証外ですので、自己責任で行ってください。

【NIKON COOLPIX5000の場合】 プラグのサイズに注意!
※Blogに紹介しています。 http://blog.livedoor.jp/fuuma_mfuk/archives/50017560.html
COOLPIX5000での天体写真撮影はモニタでピント合わせをしますので電池消耗が早いです。通常の電源はリチウムイオンを使用しますが氷点下では電圧不足になってしいますし、バッテリーグリップを使えば単三電池を使用できますが6本も入れないといけません。リチウム単三電池を使うとなると非常に経費高。これも12Vポータブル電源から得る方が良いでしょう。

入力電圧は8.4V。*istDと併用することもあろうかと、もうひとつレギュレーターを仕入れました。
秋月電子通商 http://akizukidenshi.com/ のキットを利用すると便利です。基板その他必要な部品がセットになっていて、説明書の指示通りに半田付けするだけ。発熱も少なく許容範囲も大きいのがgood。製作・・というより簡単な組み立てです。
・・が、ひとつ問題が。COOLPIX5000のジャックに差し込むことの出来るプラグは、市販されているプラグとはちょっとサイズが違うようです。しかし、プラグの真ん中にアルミホイルを少し詰め込むことで正常動作するようになりました。
なお、後日わかったことですが、KissDNと同じ8.0Vの入力でも正常動作するようですので、バッテリーも温存でき、レギュレータも使いまわしできます。
※テスターを使っての慎重な調整が必須です。また、こういった改造においてのトラブルはメーカー保証外ですので、自己責任で行ってください。

【Canon EOS Kiss Digital Nの場合】 カプラの改造が必要
※Blogに紹介しています。 http://blog.livedoor.jp/fuuma_mfuk/archives/50113301.html
旧KissDと比べ、KissDNのバッテリーはサイズが非常に小さく、寒冷期の撮影には少々心配が付きまといそうです。春先には一晩でバッテリー3個を消耗するというレポートをどこかで見ましたが、純正バッテリーをあと2個買わないといけませんし、氷点下ではさらに消耗しそう。ちょっとした改造で12Vポータブル電源から赤道儀と一緒に電源を得るほうが、やはりリーズナブルで効率的、賢い選択だと思います。

KissDNにはプラグを差し込むジャックがどこにも付いていませんので、純正ACアダプタに付属しているカプラと呼ばれる部品を改造して使います。カプラは単体で購入可能、いつものカメラ店で取り寄せて2000円でした。
カプラはバッテリーと同じサイズで、バッテリー室にそのまま差し込んで使用するようになっています。ACアダプタに接続するためのジャックが付いていますが、これがまた非常に特殊なサイズなので、ジャックを一般的なものに取り替えるのがベストでしょう。
カプラをこじ開けてジャックを取り外し、短いケーブルを取り付けたその先に一般的なジャックを取り付けます。
純正バッテリー出力電圧の表示は7.4V。レギュレーターからの入力も同じ7.4Vに電圧を調整して接続していましたが、レリーズすると電源が落ちるなどの不具合が幾度もあるので困っていましたが、あれこれ試しているとどうやらレリーズ時に一時的に電圧不足が生じてしまっているようです。
実はカメラボディ下部には8.1Vとの表示があり、どうしてバッテリーの出力表示と違うのか不思議でしたが、バッテリーからの出力を実際に計測してみると8.0Vありましたので、レギュレータからの入力も8.0Vに修正。以後不具合はなくなり、快適に使用できるようになりました。
この方法は同じく専用のカプラを使用してACアダプタを接続する旧KissDigitalにも応用できると思います。ゆうひぶたっくすさん調べによると、電圧もほぼ同等で大丈夫とのこと。旧KissD専用のカプラを単体で購入して少々改造すれば同じように12Vポータブル電源から電源を取ることができるようになるはずです。
※テスターを使っての慎重な調整が必須です。また、こういった改造においてのトラブルはメーカー保証外ですので、自己責任で行ってください。


バッテリーをうまく使うには・・
電圧の低下があってか、レリーズのたびに電源が落ちるというトラブルに何度も見舞われたことがあります。
このようなことが何度もあっては、貴重な撮影時間が削がれてしまう。さっそく改良しなくては・・ということで、
家に帰ってからチェッカーでレギュレーターを介した出力電圧を計測してみると7.9Vを指していた。
KissDNに必要な電圧はおおよそ8.1V。おそらくレギュレータのボリュームが動いてしまったようだ。このボリュームがかなり敏感なので困る。さっそく8.1Vに戻しておいたが、はたして真っ暗な現場でヘッドランプを頼りにこのような微妙な調整作業を出来るだろうか・・自信がないのでマスキングテープで固定しておいた。
・・そんなことがありました。

2つ搭載そこでSG-1000をもうひとつ購入。スペアがあればトラブルのときも安心だ。
しかし2台も買うなら車のバッテリーの方が安上がりでは・・と思うのですが、SG-1000は電源アダプターを繋ぐだけで充電できるし、メンテナンスフリーで倒しても大丈夫と言う手軽さが良い。
バッテリーのケースに2つ入れてみたが結構重い・・。^^;

電圧計・温度計そして急な電圧低下をいち早く察知するため、電圧計を取り付けた。
自動車用のものの流用だが、これには温度計と時計が付いている。温度計は車内・車外気温を計測できるタイプなので、バッテリーボックスの外側と、保温すべき内側の温度を知ることが出来て便利そうです。
オレンジのバックライトが常時点灯されているが、撮影には影響なさそう。



厳冬期の電圧低下防止のための手段
オリオン座も高く昇るようになり、シリウスが皆の目を集めるように大きく輝きだすと、夜の撮影地は冬の厳しい寒さに包まれるようになります。肌を刺すような冷たい風の中、ほとんど動かず長時間集中を強いられる天体写真撮影では、寒さに耐える工夫をしなくてはなりません。
具体的に言うと、衣服の防寒対策とバッテリーの防寒対策が必要になってくるのです。

足元の防寒スキーウエアなどの暖かい服を着るのはもちろんのこと、手袋や耳までかぶれる帽子も必須。そして何度も撮影しているとお判りになるかと思いますが、身動きをしない時間が長くなるので衣服の防寒対策で最も盲点になりやすいのは足元。足の指先が冷たくなると、もう居ても立ってもいられなくなります。
でもこのネオプレン製の靴下があればとても暖かく、撮影は非常に快適になります。

某ホームセンターのコー○ンで、作業服売り場などを探せば見つかります。



バッテリーボックスさて、寒さにダウンするのは体だけでなくバッテリーもです。機材が増えてくるとポータブル電源やカーバッテリーを使用するので、寒さ対策には敏感になっておかなければ。

というわけで、こんなクーラーボックスを調達しました。


バッテリーボックスの内部
ボックス内はカーバッテリーが二つちょうど入る大きさです。

しかし冬の撮影地は零下の世界。これをそのまま野外に放り出していては、長時間の撮影では内部まで冷たくなってきそうです。
そこで、このボックスは車に積んだままにすることにしました。

ケーブルそうすると必要になってくるのは車から広げた機材まで電気を届ける長いケーブル。

カーサイドでの撮影ですから6mあれば充分かと。
ちょっと不恰好ですが、これで良いのです。実は4芯のケーブルを使って一本で・・と考えていましたが、あれだと太すぎて車のドアを閉めることが出来ませんので。^^;

コネクターバッテリーとケーブルはこのように一度に接続できるようにしています。
セッティングには極力時間をかけたくないものです。

接続すると左のような状態。


ポリ容器先ほどから写真にチラチラと登場しているポリ容器ですが・・これが今回最も高性能な機材かも知れません。(笑)

車にこのボックスを入れておくにしても、エンジンを切っている車ではやはり車内温度も下がってきます。
そこでこの容器に湯を入れてバッテリーボックスに投入し、温度を保つようにしています。
容器は二重ブタで漏れる心配もなく、耐熱温度は120℃。見かけによらず頼もしいヤツです。沸騰していても大丈夫なので、水筒で持ってきても良いし、現場で沸かしても良いでしょう。

電源ターミナルケーブルの先、赤道儀の下にはこれを置きます。

シガーソケットには電圧計と温度計を取り付けてバッテリー残量とバッテリーボックスの温度が判るようにしています。
SS2000PCは、満充電で電圧の少々高い状態になっているカーバッテリーでは誤作動を起こすことがあるようで12Vポータブル電源から取るようにしています。
また、SS2000PCのモーターから発せられるのか、カメラとSS2000PCを同じ電源から供給すると横縞のノイズを拾うようです。カメラで不必要なノイズを拾わないように、カメラへの供給と赤道儀やヒーター・PCなどへの供給にはバッテリーを分ける必要がありますので、別の12Vポータブル電源から取るようにしています。
カメラやSS2000PCはポータブル電源で充分なのですが、ヒーターやPCはかなり電気を食いますので、ポータブルバッテリーでは持ちません。カーバッテリーから取ります。
そういうわけでカーバッテリー1個と12Vポータブル電源2個にしているのですが、そろそろもっと容量の大きいバッテリーが欲しくなりそうです。

PCへの電源供給はDC12V-AC100Vインバータを介します。効率が80%と良くないのでまだ改良の余地がありそうですが・・。
手前の白い箱は秋月のキットを使用したレギュレーター。カメラへの供給電圧を調整できるように改良しています。手持ちのデジカメKissDN、*istD、COOLPIX5000の全てに使用可能。他に手持ちのGP赤道儀でも撮影を平行できるように、このレギュレーターはもう一台製作しています。

さ、これで万全・・かな?


ガイド用PCへの電源供給
昇圧型電圧変換機ガイド用のPCへの電源は12VバッテリーからAC100V−DC12Vインバータを使っていましたが、約80%という効率の悪さに連続使用可能時間が大幅に削減されてしまって不便でした。でも昇圧型のDC-DCコンバータはとても割高。
もっと安いのがないかずっと探していましたが、Matさんの星空Blogで先日エントリされていたクルマDEチャージャーなるDC-DCコンバータを見つけ、僕も購入することにしました。

うちのPCは15V3A。この変換機は20Vまでは4Aという大きな電流に耐えてくれますので安心です。
アダプタでプラグを交換できるのでノートならほとんどの機種で使用できるのではないでしょうか。非常に安価でお薦めです。
ホント作るより安っ・・Matさんありがとう!

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